なぜ自炊ができる湯治宿が好きなのか。

地獄蒸し用の台所
asagiri-mami

若い頃、湯治という響きはなんとなく年寄り向けの旅行スタイルに聞こえていた。
温泉で暖まってのんびりするだけの旅なんて時間がもったいないような気がして、
「温泉はどこかに遊びに行くついでに立ち寄る物」と思っていた。
また、90年代後半から海外旅行に出始めた私は、自分で自由に旅するおもしろさに目覚め、
どんどん国内旅行から離れていった。日本とは違う文化を知るのが楽しかったのも勿論あるが、それより国内を一人で旅する不便さに辟易していたのだ。
正直、日本の宿は宿側の要求がうざったいのである。



一人旅はお断り(特に昔は女一人はやな顔をされた)。
朝食の時間、夕食の時間も事前にきっちり決められる(多少の希望が通る場合もある)。
部屋にずかずか入り込んで布団を勝手に敷かれたり、あげられたりせわしない。
しかもチェックアウトは午前10時。
休みにくつろぎに来ているはずが、ちっともくつろげないと思うのが正直な気持ち。

中にはこちらの意向をさっとくみ取り、絶妙のタイミングで動く仲居さんがいて、
くつろげる場合もあるのだが、正直、そんな宿は滅多にないのが現実。

外国では多くの場合チェックアウトは12:00。チェックインの24時間後の場合もある。
食堂が少ない小さな島国などを除けば基本は食事は別だから、食べても食べなくても好きに過ごせる。従業員の出入りは連泊した時に部屋の掃除が入るくらい。
女だからとイヤな顔をされるのはイスラム諸国ぐらいなもので、だから窮屈で高い国内旅行をするくらいなら海外!と休みの度に海外旅行に出ていた。湯治宿の存在を知るまでは

湯治宿は、温泉にのんびりと長逗留して、体も心も休めるためにある宿泊施設。
特に昔は農家や漁師さんなど、1次産業に従事している人が多かったのもあり、
仕事の季節が終わった時にやってきて、日頃の疲れを癒していたらしい。
病気療養が目的の場合もあるし、ただのんびりしたくて来る人もいる。

長逗留できるように、宿は基本的に部屋貸し。
布団や浴衣、ストーブなどは持ち込めたり、別料金で貸してもらえたりする。
自炊設備があるので、自分で食事を作ればより長く滞在できるというワケだ。

まさに私が望んでいる「基本的にほおっておいてくれる宿」が湯治宿だったのである。

サラリーマン世帯が増えた近年、湯治宿に長逗留するお客が減ってきたのもあり、
廃業したり、高級旅館に改装したりする宿もありますが、
古い建物を直し、現代風にサービスを改善しながらも、伝統を守っている宿もあります。

「自炊なんてしたくない!」というお客用に食事付きプランや食堂を併設している宿。
無線LANが飛んでいて、空き時間にネットサーフィンできる宿。
こういう宿はコロナ禍以来増えたテレワークやノマドワーカーにも使いやすい。

毎日毎日旅館のおおごちそうを食べ続けたら、ブロイラー並に太ります。
ごちそうはたまに食べるから美味しいのであって、毎晩続くのはどうも・・・。
(特に海辺の宿の海鮮づくしが苦手。野菜が少なすぎませんか?)

地元の食材を探して料理したり、デパ地下や料亭の豪華弁当を買ってきたり、
最後の晩は、旅館部に泊まって、板前さん自慢の豪華ご飯をだしてもらったりと、
名物も銘菓も銘酒も充分楽しみながら、のんびり気ままに過ごせるのが好きな理由です。

お金をかけずに気ままに過ごせる宿の過ごし方、食材調達や近隣グルメ情報など、
湯治宿滞在レポートを順次紹介していきます。
温泉旅館や旅館部に泊まることもあるので、そちらも軽く紹介しますね。

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